平城ぐるめ堂店主の
手前味噌寒仕込み奮戦記−その3
(2003年7月21日)
一 かめを取り出すの巻
春に天地返しをしてから約4ヶ月。縁の下で辛抱強く梅雨が明けるのを待っていたが、どうも今年の梅雨は簡単に明けそうにない。仕方がないので本日二回目の切り返しを、点検も兼ねて決行した。
まず例によってふたを開ける前の体重測定の結果は、約9.2kg。0.1kg減ったが測定誤差の範囲であろう。
因みにこの味噌に使った大豆はナカセンナリという信州安曇野で無農薬栽培された品種で、大豆屋さんに1kgだけサンプルでいただいたものである。味噌にも豆腐にも適しているという守備範囲の広い豆である。
二 カビの野郎にびびるの巻
新聞紙をはがし初めて気づいたのであるが、かめの周囲に結構カビさんがはびこっておられた。これはやばいと一瞬あわてる。盛り上がるように生えているところはおそらく大豆のカスがついていたところであろう。またうっすらと生えているところはやはり何かのカビの大好きなものがくっついていたのに違いない。
とにかくかめの外壁は消毒をしていなかったのでこれは当然といえば当然かもしれない。
三 ふたを開けるの巻
ふたを開けた瞬間、ぷ〜んと醤油のようないい匂いがしてきた。この瞬間成功を確信。春におこなった天地返しの時とは比べ物にならないほどいい匂いである。また、心配していたカビは全くなく、ほっと一安心。アルコール消毒を手抜きしていたらどうなっていたことか・・・
置き塩は結構固まっており、こぶしでこつこつ割りながら、ラップを剥がしていくとそこに現われたのは幾分熟成が進み茶色っぽくなった味噌の表面であった。
四 塩をはがすの巻
一番表の層は写真のようにベトッとしてこうじと大豆が完全に溶け合ったような状態でやや不安になるも、少し掘り返して見るとちゃんとつぶつぶの大豆とこうじが「熟成中です」という感じで現われて一安心。
匂いはやはりまだ、こうじの熟(な)れた匂いが強く、食べるのはまだ早いですよといっているようだ。
五 味見をするの巻
3月の天地返しでは結構堅く、しゃもじが入りにくかったため、仕込みの時の水分調整が足りなかったのかもと懸念された。しかし4ヶ月経過してなんと、浸透圧の関係だと思われるが水分が大豆から適度に出てきて、いい柔らかさになっていた。仕込む時は耳たぶの柔らかさとよく言われるがその通りで正解だったのである。
味の方は、塩分がかなりまろやかにはなってきたが、まだまだ塩辛い。しかし若い味噌であることを割り引けば、十分最高級の味噌として通用するのではないかという所まできている。一夏越して秋にどれくらいまろやかになっているかと思うとわくわくする。
六 いよいよ切り返しをおこなうの巻
点検は一応OKだったので、最後に切り返しをおこなう。底の方にもたっぷり空気を通してやって、来るべき真夏に醗酵がぐんぐん進むようにしてやる。
七 もとの状態に戻すの巻
充分かき混ぜたら、しゃもじでぺたぺたと再び表面を平らにして、かめの内壁に付いた大豆のかすをきれいに布巾でふき取る。野球でいう9回の守備固めではないが、ここまで来たら絶対にカビをはやさないために、消毒用エタノール(薬局に売っている)のスプレーでかめの内壁、ふたの裏表、かめの口の周辺を入念に噴霧してやる。
最後に、ラップを新しいものに取り替え、先ほどの置き塩を再度乗せ、手の甲で平らに地ならししたら素早く(?)ふたをする。このとき、特にかめの周辺がカビが生えやすいので、そこが空気に触れないよう特に念入りにラップを密着させておく。
八 かめに新聞紙を被せておしまいの巻
かめのふたに先ほどの新聞紙を被せひもでしっかり縛り、今日の日付を記入したらまた縁の下で秋までおさらばである。立派な味噌になって帰ってこいよと念じつつ・・・<つづく>