平城ぐるめ堂店主の
むぎ味噌寒仕込み奮戦記
(2004年2月27日)
一 麦味噌は本当は美味しい?の巻
近所のこうじ屋さんで、年2回だけ出てくる麦こうじを入手したので、思い切って麦味噌を仕込んでみた。思い切ってというのは、過去あまり美味しい麦味噌に巡り合っていないからに他ならない。こうなったら自分で作るしかないという極くまっとうな動機から作ることにしたのである。
まずは大豆を前の晩9時から水に漬けて翌日の昼過ぎまで、約16時間ほど置いたが、例年になく寒い日々が続いていたためなかなか戻りが悪いようだ。
二 今年は例年よりちょっと寒いの巻
長期間を要する加工食品の代表格の味噌のことであるから、決して慌てたり端折ったりしては美味いものが出来ないということは解っているのだが、あまりにも大豆が戻るのに時間がかかるため13時半で切り上げて、煮込み作業に入る。
例によって、圧力釜を使い1kgの大豆を焚くのであるが、最初の強火でソフトクリームのようなあくがどんどん吹きだしてくるのでしゃもじでせっせと掬い出す。
そのうちに出方も弱まってくるのでガスを弱火にし、大豆が頭を出すと赤く変色するので、水切れに注意しながら次の作業にとりかかる。
三 麦こうじも独特の良い香りの巻
入手した2kgの麦こうじは袋を開けると幾分こうばしい、米とはまた違ういい香りがする。
四 こうじを塩切りするの巻
内モンゴルで採掘した岩塩を精製したという、とてもさらさらした塩を使ってみた。麦こうじとの混ざり具合はすこぶる良いようで、写真のようにきれいに混ざってくれる。
五 そろそろ大豆の方も煮上がっての巻
13時半から煮込みはじめて、17時まで約3時間半煮込み続け、指でつぶすと形もなくきれいにつぶれるようになったため、火を止めた。ここでは煮汁は後でこうじと混ぜ合わせるとき硬度調節に使うため流さずに取っておく。これがいわゆる種水(たねみず)と言うやつである。
六 すりこ木が1本あれば十分の巻
最も原始的ではあるが、すりこ木で大豆を潰していく。大豆はできるだけ少量ずつ潰す方が抵抗が少なく楽であるが、水分が蒸発しやすいので種水で硬度調節が必要である。
七 こうじを混ぜたらいよいよプレイボール!の巻
つぎは先に準備しておいた塩切りこうじを、潰した大豆に混ぜる作業である。ここで注意が必要なのは、大豆が十分冷めないうちに混ぜるとこうじ菌が死んでしまい味噌にならない恐れがある。30℃位になるまで冷ましておくことが必要である。自然に冷ましても良いがだんだん赤っぽくなり劣化するからボールごと水に漬けて急激に冷まして次の工程に進む方が良い。
ここで、こうじを大豆に満遍なく混ぜることも大切であるが、もっと大事なのは塩が平均に混ざることである。塩が偏っているとカビが生えたり、腐ったりする原因になるからである。
そしていよいよ、この大豆を野球のボールほどの大きさにしっかり握って、焼酎や消エタなどで内部を殺菌した容器に思いっきり投げつける。くれぐれもコントロールに注意して投げること。当然ストライクしか許されない。野球ならワイルドピッチでも精々1点しか入らないが、味噌ではどんな事起るか想像しただけで背筋が寒くなる。
また、投げ入れるときは、容器の周りから順次詰めていき、最後にど真中にストライクを決めるのがコツである。
八 麦は麦の美しさの巻
投げ入れが終わったら、表面をたたいて平らにして、容器の内壁に付いた大豆カスをアルコールのついた布巾などできれいに拭きとってカビの原因を作らない。
左の写真のように麦の場合は黒いスジがきれいな模様を作って見た目にも美しい。
九 麦と米の違いの巻
麦はカビが生えやすいから、サランラップをする前に表面にうすく塩をふりまいておくとか、カビよけの塩の上に更に重石をしたほうが良いとかあるが、今回は全て省略。
しかし、ラップをする前に容器の内壁や、縁に丹念にアルコールを吹き付けてからふたをすること。これはこうじの種類にかかわらずカビよけの基本である。
十 かめに新聞紙を被せておしまいの巻
最後にかめのふたに新聞紙を被せひもでしっかり縛り、今日の日付を記入したら縁の下に保管。麦の場合は醗酵が米よりはるかに早く、4〜5ヶ月で食べられるようになるから、次の世話はいつごろかになるのか・・・<つづく>